大学院の研究で精神を病みました
突然ですが、精神を病みました。
憧れであった東京大学の大学院に入学し、研究を始めた時にはこんなことになるとは全く予想していなかったので、「まさか自分が」という思いでいっぱいです。
今回は、精神を病むに至った経緯と、(研究が原因であるかに限らず)精神を病みそうな人に向けたアドバイス、そして精神を病んでしまったときのために日ごろから準備しておきたいことをお伝えします。
精神科で頂いた診断書。「心因反応」の文字。 |
大学院の研究で精神を病むに至った経緯
精神を病んだ原因は、大学院での研究プロジェクトです。
このプロジェクトはとある企業様と私の所属研究室が共同で行っているもので、ここ最近は肉体的・精神的な負担が大きく、このような事態を招きました。
元々このプロジェクトは炎上気味で、先月には
メンバーとして企業側から派遣されていた社員1名が突然退職してしまう
という事件が起きていました。
客観的に見れば、自分が精神を病むという状況は十分に想定できたと思います。しかしながら、私は実際に体が壊れるまで自分が危険な状況にあることに気が付けませんでした。
なぜ、気づけなかったのでしょうか。
それは、「研究をやらなきゃ!」という、ある種の使命感・義務感のような気持ちが、精神的な疲労を隠していたからです。
「研究をやらなきゃ!」という気持ちが強く、「今日はまずこれをやって、次はあれをやって...」と考え続けていたため、自分がどれくらい疲れているのかを正しく認識することができなくなっていました。
そして、精神的な疲労が限界を超え、体に様々な異常が発生したときに、ようやく「これ以上は無理だ」という気持ちを自覚することになりました。
私の場合は不眠から始まり、最終的にはプロジェクト関連のメールを読んだだけで手が震え、30分くらい動けなくなるほどになりました。
こうなってしまうと、研究へのモチベーションは一気に失われます。
心が、「もう、なにもやりたくない」という気持ちで埋め尽くされました。
とても研究を続けることができない体になった私は、プロジェクトメンバーに体調不良であることを連絡して大学院を休むことにしました。
そして、精神科で「心因反応」と診断されるに至りました。
ちなみに、某メガバンクに就職した私のサークルの先輩も「突然手が震えて会社に行けなくなる」という状況に陥ったことがあると聞きました。
手が震えるのは、精神が壊れ始めた時の典型的な症状です。
この先輩、比較的早期に休んだにも関わらず、復帰までに数か月を要しました。
手の震えを放置すると、もう戻れないほどに精神が壊れてしまう可能性があります。手が震え始めた方は、どうぞゆっくり休んでください、、
現在の状況
現在、私は助教およびプロジェクトメンバーに精神疾患になってしまったことを連絡し、お休みをいただいています。
幸い、長期のゴールデンウイークに入りましたので、大きな影響はありませんが、それでもプロジェクトにはご迷惑をおかけしています。この点に関して、プロジェクトに関わる多くの方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
しかしながら、もうこのプロジェクトに戻るつもりはありません。戻れと言われても戻りません。
私の場合はストレス源が明確で、ストレス源から離れている間は体に症状が出ません。
したがって、日常生活は問題なく送ることができます。
逆に、ストレス源にさらされると症状が再発、悪化する恐れがあります。
しばらく研究から離れて休養をとり、研究のモチベーションが戻ったタイミングで次の行動を考えたいと思っています。
精神を病みそうな人へのアドバイス
私と同じように精神を病みそうな人へのアドバイスを2つほどお伝えいたします。
とにかくストレス源から逃げる
まず大切なのは、「逃げる」ということです。
ストレスを受けている限り、状況はどんどん悪化します。症状は重くなり、その分だけ回復にも長い時間がかかるようになります。
私の場合は手の震えが出た時点で逃げることができたため、なんとか「うつ病」になることは避けられました。
もし放置していれば、うつ病になり、ストレス源から離れても症状が続く体になっていたかもしれません。
「逃げることは恥ずかしい」、という考えは捨ててください。
精神的な辛さは、本人にしかわかりません。逃げずに状況が悪化しても、周りの人は責任を取ってくれないでしょう。
自分の命を守るためにも、まずは逃げることが大切です。
他の人に相談する
良く言われることですが、自分の現状を周りの人々に伝えることはとても大切です。
状況をありのままに話すだけで、心を落ち着かせることができます。私の場合、
- 大学のカウンセラー
- インターン先の社長
- サークルの友人
などに相談をし、実際にかなり精神的な安心感を得ることができました。
ただ、所属研究室の先生方や学生、親などには、一切相談できませんでした。
研究室からはなるべく離れたかったですし、親に言ったら間違いなくブチ切れられます。今思えば、これで良かったなと思います。
相談したくもない相手に相談するのは、精神的にかなりきついはずです。
もし、周りに相談できそうな人がいない場合、大学生や大学院生であれば学生相談室などが設置されているはずですから、すぐにそういった場所にいって悩みを聞いてもらいましょう。
精神を病む前に、日ごろから準備しておきたいこと
精神を病んでしまったときのために、日ごろから準備しておくと良いと思ったことが2つほどありますのでご紹介いたします。
相談に乗ってくれそうな人をたくさん作っておく
これは非常に大切です。先ほども申し上げた通り、悩みを他人に聞いてもらうことは本当に重要です。
学生であれば学生相談室がありますが、選択肢が多いに越したことはありません。
是非、様々な相談相手を作っておいてください。
可能であれば、多様なコミュニティで相談相手をつくると良いです。
例えば、今回の私は大学の友人や助教・教授らに相談することに強い抵抗を感じました。
ストレス源から逃げたいという気持ちが強い状況では、ストレス源に近い場所にいる人々に相談するのは、それ自体がストレスになるのです。
逆に、インターン先の社長やサークルの友人といった、研究と全く関係のないコミュニティにおける相談相手には、抵抗なく相談することができました。
多様なコミュニティに属することのメリットを痛感しました。
生き方の選択肢をたくさん持っておく
「生き方の選択肢をたくさん持っておく」というのは、言い換えれば「逃げ道をたくさん用意する」ということになります。
今回、私は研究が原因で病んでしまいましたが、ありがたいことに大学院を中退しても就職先が確保できている状況にあります。
これは、かなり大きなメリットです。
何も受け皿がない状況だと、簡単に辞めるわけにはいかなくなります。そうすると、それがまた精神的な負担の原因となってしまいます。
逃げ道の作り方は簡単ではありませんが、例えば大学生の場合であれば、小さなベンチャー企業でインターンすることは、とても良い逃げ道の作り方と言えると思います。
運が良ければ中退しても採用してもらえるかもしれませんし、そうでなくても勤務経験を生かして別のベンチャー企業に就職できる可能性は大いにあります。
私の友人で、大学に通えなくなった人がいます。
彼は、大学を卒業することは難しいと判断してベンチャー企業のインターンを始め、そのままそこに就職して大学を退学しました。
今では趣味と仕事を両立し、楽しく過ごしているようです。
昨今、学歴が求められない職種が増えているため、このような選択肢は取りやすくなっていると言えるでしょう。
終わりに
精神疾患は誰にでも起こりうるものだと感じています。
社会に出る前にこのような状況を経験できるのは、非常に運が良かったと思っています。
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皆様も、お体にお気をつけて。